【恐怖の体験 海に浮く自転車】





 ある夏の暑い朝、ここ最近良い釣果が続いているマゴチを師匠と一緒に狙に行きました。

 時間は朝の5時頃。
 空は既に明るくなり、太陽のギラギラ光線が都会を照らしはじめようとしていた。

 水門を抜け、全速力で走りはじめると肌に当たる風が体温を冷やし心地よい。
 この心地よさが病気の釣り師の心を更にくすぐる。

 魚は一杯釣れるだろうか? 大物と出会えるだろうか? 今日も思い出に残る釣りができるだろうかと・・・。

 魚の釣れるシーズン中は、毎日・毎日この心地よさの繰り返し・繰り返し・繰り返し・・・。


 少し走ると海に浮かぶ変な物を発見!
 近づくにつれ、それが自転車であるとわかりました。

 「アレレ? なんで自転車の前輪が半分浮いているのだろう?」と思い、減速して近付くと、黒いゴミが自転車に引っ掛かっています。

 更に近付くと、人間の髪の毛と耳が見えました。
 アッ、ドザエモンダ! ヒエ〜〜

 船はゆっくりと自転車の横を通り過ぎます。

 師匠が、
 「どうする? 水上警察に連絡する?」
 「それとも無視して行っちゃう?」
 
 タム:
 「そうだね〜、どうしよう?」
 「明日以降、釣りをしている最中、近くに自転車が浮いていたら怖よね!」
 「この場所は私のホームグラウンド、仕方ないから電話しよう。」
 と言う事になりました。


 今の時代であれば携帯電話で簡単に連絡できますが、この当時、携帯電話は今のように普及されておらず、NTTから大型で高価なの物が発売されている時代でしたので、一度陸に引き返すしかないと考えていました。

 ちょうど、近くに工事の作業線が走っているのを発見!
 師匠が、「もしかしたら無線で連絡が取れるかもしれないので相談して見よう。」と言い出す。

 で、船に近づき事情を話す。
 船には無線のような電話?があり水上警察に連絡。  すぐにこちらに向かうとの事。

 水上警察が来るまでの間、ドザエモンの近くで待機していたのですが、なぜ自転車と一緒なのか理由が知りたくなり、勇気を出して再びドザエモンに近付きました。
 もちろん、こんな事を言い出したのは私。


 結局その理由はわかりませんでしたが、この時ドザエモンの顔をジックリと見てしまったのです。(~_~;)

 顔の色は黒っぽいねずみ色。

 顔はガス?で大きく膨らみ風船の様でしたが、可愛い耳と髪の毛が人間であることを物語っています。

 パッと見た感じはホラー映画で出てくる特殊メイクの様です。
 今でもこの時見た肌の色と可愛い耳が目に焼き付いています。

 幸か不幸か、海水のニゴリがあったお陰で水中に沈んでいる顔の部分は良く見えませんでした。
 今考えると、この方の目を見ないで良かったと思っています。

 もし見ていたら、夜な夜な思い出しては恐怖に震える日が続いたかも? (>_<)


 水上警察到着後、気持ち悪いので後は警察に任せサッサト釣りに行きました。

 後日、水上警察から連絡があり、「この方は浮浪者で自転車を身体に巻き付け自殺したと思われる。」との報告がありました。


 良くTVでは水面に顔を向けて浮いている姿を良く見ますがあれは誤りだと私は思います。

 実際は水面に背中の部分を中心に浮いています。

 師匠が発見した水死体も同じです。
 確か翌年、師匠が一人で出船した際、またもや黒い物体が浮いているのを発見!
 近づくと黒の皮ジャンを着たドザエモンでした。


 ドザエモンの姿を表現すると、まるで海の中で背中を丸めオバケのポーズをしているかの様です。
 この為、遠くから見ても死体だとは確認できないのです。

 発見した瞬間は、「変なゴミが浮いているな?」と言う感じです。
 皆さん、釣り場で変なゴミが浮いていたら注意して確認しましょう?(^_^)


 以上の理由により、私は夜釣りで変なゴミを発見した時は絶対近付きません。

 皆さんは釣り場で大きなゴミを発見したら勇気を出して確認しに行きますか?
 しかも、人の少ない夜釣りで発見したら?
 
 もしかしたら、気にすれば気にするほどゴミの正体が知りたくなる性格ですか?

 私はオバケ系は苦手ですので、気になってとても釣どころではなくなってしまいます。

 END